2015年12月8日火曜日

腎不全猫の死因は何だったのか?

腎不全猫の最期の様子については以前の記事に書きましたが、夜間の間に何かイベントがあって、
  • 左後脚:伸びたまま固まって動かない
  • 残りの脚:力が入らずだらり
  • 大量のさらさらしたよだれ
  • 呼吸苦
の症状が出現していました。


それ以前の症状としては
  • むくみ(全身状態としては脱水だが、末梢には水が溜まっている)
  • 収縮期血圧190→アムロジピンで120くらいまで急激に下げてしまった
  • 亡くなる前夜までは低調だが、呼吸も割と落ち着いていた

これは勝手な想像ですが、
直接的な原因としては、高血圧に由来して、心不全の状態になっていたのではないかと思います。
心不全になると、心臓の中でスムーズに血液が流れないため、血栓ができやすく、体が動かなくなっていたのは突発的にどこかに血栓が飛んでしまった可能性が考えられます。

そして、最大の汚点はアムロジピンの(猫にとっては)大量投与。
むくみが出現した時期とも一致しています。
アムロジピンは心臓への影響の少ない降圧剤なのですが、体力が低下、体重の減少している状態では、少量からじわじわ増やしていくべきでした。

一般的にうっ血性心不全ではカルシウム拮抗剤はあまり好ましくありません。
急に血管を広げてしまったので、皮下点滴が吸収されて、どんどん末梢に溜まってしまい、本来の体内を循環させて老廃物と共に排泄させるという目的も十分達成できなくなっていたのではないかと思います。

病態を評価するためにむくみが出た時点でエコーまたはレントゲンを撮ってもらうと、病状の評価ができたかもしれません。
(うちの場合、獣医さんは外観、聴診でむくみは無いとの判断だったので、お願いしそびれてしまいました)

現在、猫の血圧測定は一般的ではなく、ペット用の血圧計は非常に高価で個人で所有できるような値段ではありません。
しかし、薬剤師視点で考えると、血圧を十分モニターせずに降圧薬を計算だけで投与するのは今回の事例を振り返っても、非常に怖いなあと感じます。
(人間では絶対あり得ない)
冷静に考えれば、そうなのですが、当時は獣医さんから指示であり、安心しきってしまったのと、とにかく早く元気になってもらいたいという焦りで、すっかり仕事目線が外れてしまっていました。
 
人間のように数千円(せめて1万円台)くらいで入手でき、定期的に血圧を見ながら体調や薬の効果を評価できるようになることを切に望みます。

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

はじめまして,不ログを拝見しました。
現在マレーシアのKLに 住んでいます田中です。
16歳のメス猫が 先月から 体調が悪く 動物病院で腎臓病と 判断されました。
最初は 便秘の治療を始めましたが 本当の原因は腎臓の機能が 落ちてしまった。
3日ほど病院で血管点滴で 落ち着いて 現在 我が家で 皮下点滴を行っています。
1日200ccで 今日から 大分元気になり 点滴を嫌がるようになりました。
また 点滴が 皮膚から 少し漏れるようになりました。これは 自身で水分を確保でき
必要性が 少なくなったのでしょうか? 尿の 匂いはほとんど無く、1日に8回で やわらかい
便もまともに 出るように なりました。食事は 腎臓病専用の ウエットと ドライをあげています。
現在 食欲も 改善し、歩き回りようになりました。現在の体重は 5.6キロで 太り気味です。

最後に 現在も まだ マレーシアJBに 滞在されているのでしょうか?
私は 1973年に 協力隊でKLにきて 現在は自営業を 営んでいます。もうすぐ70歳になります。
最後に 他の 血液検査では 白血球や 赤血球や も 正常です。ご面倒ですが お知恵を拝借したく
おねがいいたします。田中E.

ricoyon さんのコメント...

田中さん
放置気味のブログでお返事が大変遅くなってしまいました。
その後猫ちゃんいかがでしょうか?

獣医では無いので、病状を判断することはできませんが、自力で食事が取れていて、便も嘔吐などなくスムーズに出ているなら、侵襲の大きい点滴は不要ではないかと思います。

点滴が漏れてしまう原因は、第一に考えられるのが、針が貫通してしまっていて、トンネルのように液が外に出てしまうことかと思います。
第二に皮下ではないもっと下の層(筋肉)に針先があたってしまっていると、液は入らず漏れ、猫ちゃんも痛がるのではないかと思います。

液を注入する前に皮膚の中で針先が自由に動く(筋肉に当たっていない)のを確認してから注入を始めると良いと思います。

ブログ内でも触れていますが、猫の食欲がなくなったり、水を飲んでるふりして実は飲んでなかったり、というのが猫の体調を見るバロメーターと思います。

田中さんと猫ちゃんが1日、1年でも長く一緒に過ごせることをお祈り申し上げております。

なお、当方、現在は主人の赴任が終わり、残りの2匹の猫とともに日本で暮らしております。